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恐ろしいエイズの感染経路

2019年12月15日
困っている男性

エイズは1980年代に初めて存在が確認された伝染病で、発病すると死に至る恐ろしい病気です。エイズの病原体はヒト免疫不全ウイルス(HIV)と呼ばれるウイルスで、血液に含まれる免疫細胞に感染して増殖します。感染すると長い年月をかけてウイルスが人間の免疫細胞を破壊して、病気に対する抵抗力が失われます。抵抗力が弱くなると健康な人であっても無害な細菌やウイルスの感染症(日和見感染症)を起こして、炎症や悪性腫瘍を発症してエイズが発病します。エイズが発病して治療をしないと、2~3年で死に至ります。

HIVウイルスが感染するのは、細胞の表面にCD4と呼ばれる分子を持つ免疫細胞(Tリンパ球とマクロファージ)です。HIVが感染するTリンパ球とマクロファージは、いずれも細菌やウイルスから体を守るために大切な働きをしている細胞です。ウイルスがこれらの細胞内で増殖すると、免疫細胞が破壊されて減少します。血液に含まれるTリンパ球やマクロファージが減少すると病原体に対する抵抗力が失われてしまい、日和見感染症を発症します。HIVに感染してから発症するまでの間はウイルスが増殖して免疫細胞が減り続けますが、ある程度減少するまでは無症状の潜伏期間が続きます。

HIVは血液中の免疫細胞(Tリンパ球とマクロファージ)で増殖することから、ウイルスは感染者の血液中に多く含まれます。血液以外にも、母乳や性分泌液(精液・膣分泌液)にも多く含まれることが知られています。これらに対して、汗・涙・尿・唾液などの体液にはほとんど含まれていません。ウイルスが多く含まれる血液や体液などの感染源を通して、人から人に伝染します。

HIVの主な感染経路は、母子感染・血液感染・性的感染の3種類です。母子感染は、分娩時に産道が出血したり誕生後に新生児に母乳を与える際に母親から子供に感染します。現在は母子感染を防ぐ方法がほぼ確立しているので、母親から子供に感染する確率は1%未満です。

血液感染とは、汚染された輸血や血液製剤を使用することで他人にウイルスが感染するものです。注射針などの医療器具の使い回しや、医療従事者の針刺し事故も含まれます。日本を含めて先進国では医療行為によってHIVの感染が起こるケースはありませんが、中国本土やロシアなどでは今でも注射針の使い回しなどによる集団感染が発生しています。

現在世界中で一番多いHIVの感染経路は、性的感染です。ウイルスが多く含まれる精液や膣分泌液などの感染源が、相手の人の傷口に接触することで伝染が起こります。男性の同性愛者であれば性交の際に肛門の傷口から感染するケースが多いため、男性の同性愛者の間で性感染症の感染率が非常に高いことが知られています。

性的感染では、ウイルスが多く含まれる体液や血液などの感染源が傷口を通して血管に侵入することで感染が起こります。皮膚の表面に傷口や炎症がなければウイルスが体内に侵入することができないので、異性間の性交であれば感染率は高くありません。1回の異性間性交でHIVに感染する確率は、0.1~1%程度と考えられています。ただし皮膚の表面に僅かな傷口があれば感染率が高くなるので、有効な予防対策を講じる必要があります。

HIVは非常に弱いウイルスで、空気中や水中では短時間で活性を失うことが知られています。そのため、日常生活で人から人にうつる危険性はありません。唾液や汗には病原体はほとんど含まれていないので、インフルエンザのような飛沫感染を起こすことはありません。皮膚に傷がなければウイルスは体に侵入することができないので、日常生活で過度に心配する必要はないといえます。